貧乏人が安倍を支持する、という矛盾

アベノミクスの本質は下層から上層への富の移動であり、安倍は「いざなぎ越えの好景気」とその成果を喧伝しているが、中間層までの国民で“好景気”を実感している者は皆無だろう。むしろ生活はやや苦しくなっているはずだ。

大半の国民は安倍自民の経済政策で全く恩恵を受けていない。しかしなぜそれでも安倍の支持率はここまで高いのか。安倍はどのようなトリックを使って、搾取を受ける側の人間に、搾取を行う張本人を支持させる、という矛盾を実現しているのか。

安倍が一貫して使っている手はただ一つ、中国や北朝鮮の軍事的脅威を煽ることだ。「バカどもにはちょうどいい目くらましだ!」というわけだ。(アベノミクスで割を食うような)下層市民ほど右寄りで、中韓を敵対視するレイシストだから。

これは実に素晴らしい戦略だと思う。特定アジアの国々がその内政のために、反日感情を煽り、利用し続けてきたのと全く同じだ。国民の不満を逸らすには共通の敵が「外に」あった方がよい。さもなくば自分自身がターゲットになってしまう。「無能な政府」と槍玉に挙げられ、攻撃されてしまう。

 

北朝鮮のミサイル発射。それはミサイルの種類などからして明らかにアメリカに対する挑戦・挑発であった。にも関わらず、まるで日本を狙って発射されたかのように騒ぎ立て、その機に乗じて選挙を前倒しして大勝した。安倍からしたらキム君よくぞミサイルを発射してくれた、というところだろう。今回は特にあからさま過ぎた。

尖閣竹島も、(それ自体確かに問題に違いないのだが、)今まで必要以上に危機を煽るよう報道されてきたのではないか、と今になってようやく勘繰っている。そして、それに対して強気の姿勢を見せる保守自民、この構図がありさえすればいい。「まともな保守政党」と言えば自民しかない。だから支持率は稼げる。中国や北朝鮮の脅威を闇雲に煽れば煽るほど、安倍の支持率は上がっていく仕組みだ。これを踏まえた上で国内の報道を見ると、自民党に恩を売りたいという意図が浮かび上がってくるように思う。